2008年10月16日

-an- In the Game of..

――声紋、一致しました
『サーバー、テラ。チャンネル、ファイブを選択』
――接続完了 サーバーTerra,ch5に通信中です
『キャラクター、アンを起動。モードはエミュレート、シークレットはかけなくていい』
――キャラクターan emulate normalモードで接続しますがよろしいですか?
『イエス、アイハブコントロール』
――ok,ではログイン作業に入ります。しばしお待ちを


視点が砂漠へと切り替わる。この独特の服の触感はやはりまだ慣れない。新しい装備に変えてから日が浅いからだろうか。
「ちわっす」「やっほー^^」「こんー」「Ya」
 早速の挨拶が次々と飛んでくる。定番の挨拶と言えばそれまでだが、この挨拶に関しては案外侮れない。返答をしないまま数回も繰り返すと、段々と距離が離れていくと言うオマケ付きだ。
『どうもー、ちょっと急いでるから一括でゴメンね>all 』
「ラジャ」「はーい。またねー」「あいよー」「c u next」
 さあ、今日は数日ほどINしていなかっただけあって仕事が溜まっているだろう。請負業も信用命。・・・ラボに缶詰め状態だったからとも言えないしね。

砂漠に合わせた石造りの外見とは裏腹に、やけに金属質な内装の部屋に移動する。
・・・ここが私のマイルーム。友達には壁紙やぬいぐるみを置いている子もいるし、絵を飾ったり音楽を自動でかけてくれるタイプのアイテムを設置している人も多い。だが、この無機質感が私の場合は落ち着くのだ。人を招くときは少しは内装も施すが、一人の時はこの方が気楽でいい。
『サーヴァント・タイプC起動』
――5日と13時間ぶりです。案件は依頼が8件、シークレット通信が3件、プライベートヴォイスが2件届いております。こちらで処理できるものは済ませましょうか?
『お願い。シークレットはそのままで。依頼は…そうね。1件だけアナログでこなすわ』
――プライベートヴォイスは今再生しましょうか?
『後でいいわ。緊急のシグナルはまだ先みたいだし。依頼の残りをお願い』
――了解しました。では、今ある材料でこなしておきます

 私がこの世界で主に行っているのは狩りではなく、街での生活がメインの生産職だ。バックアップが専門と言ってもいい。そもそものシステムとして、依頼を持ち込んでくれる相手がいなければならない。そこはサポートの一環の「不特定依頼」で序盤にこなした依頼で付いた固定客が重要だったりする。質と値段、相手によってはコストパフォーマンス命と言う人も居たりするから、タイプを覚えるのも重要だ。

 さて、今回の依頼は固定客の中でもクセのある人物。とにかく見た目より質を重視するタイプで、部品が丸出しでもいいから少しでも軽く、そして強く。注文はうるさいけれど、でも楽しいのよね。こういった偏屈なタイプは、悪い部分の文句と、いい部分の感想を跡でしっかりとメッセージで送ってくるから。

『さて、それじゃまずは材質からね・・・』
今日も遅くまでこの件にかかりそうだ。明日のラボは休み。ゆっくりと相手がうなるような最高の品質で仕上げてあげるんだから。
posted by クルック at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 思いつき小説もどき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月24日

-mei- 名称未設定2

 一夜明けて朝。近くの茂みに鳥の群れでもいるのでしょうか。小鳥のエサをねだる鳴き声で鼓膜をたたき起こされました。ある意味音の暴力です。ぼうりょく反対。なぜ人はあらそうのでしょう。それはただのあやまちでありかなしみでありじゅくすいのてきでありましてですね・・・

 二度寝しそうになった頭が、変な思考をだだ漏れにしております。さすがに昨日の二の舞を演ずるわけにはまいりません。たとえ観客が馬と鳥たちだけだとしても。

 寝床から起きだすと、まずは水場の確認です。おじいさんが場所を決めたということは、その場所の近くに水場があることも意味しています。

 せめて水で顔を洗ってさっぱりすれば目覚めパッチリ。いつもの聡明かつ柔軟な私の知性と言うものが戻ってくると言うものです。そのためには、まずはおじいさんを探して水場を教えてもらう必要がございます(敬語)。



 ・・・そういえば、御者台にも仮寝床にも、御者のおじいさんの姿が見えません。

 寝ぼけていた頭が急激に焦りだします。もしかして私は寝過ごしてしまい置いていかれたという可能性も捨て切れません。昨日の失態がもしやとどめをさしてしまったのでは!?ありえない事ではないですね。約束を守りきれなかった私を置いてカントリーロードをただ一人歩いて・・・歩いて?

 そういえば、御者台を確認した時点で、馬車はここにあります。積み荷も。
 誰にだって早とちりと言うものは存在しますよね。うん。そうに違いないのです。


 しかたなく、今できることからやるべく寝床を片付け、持ってきたキットの整備を始めました。といってもキットの内容が分かっているわけではありません。整備方法はマニュアルとして横に表示されている通りに分解掃除と補充を行うだけです。ネットを使うのにパソコンの中身と仕組みを全部知らなければいけないわけではないのですよ?物事は割りきりが肝心です。


「おじいさーん、おじいさーん・・・」
 とりあえず全部終えても戻って来ないおじいさんを呼んでみます。それなりに大きな声を出したつもりです。野生の動物が怖いのでおたけびは上げられません。自分の来た道を確認しつつ、辺りを見回します。

 ある程度踏み固められ、適度に勾配の付いた道、木陰で悠々と休んでいる馬。おのれ昨日のうらみ。髪はべとべとのまま固まっています。それはさておき休憩用の広場。簡単な草原と、何かの建物の建っていたであろう跡だけがあり、それ以上は私の背丈以上の草がそれはもう広大に茂っております。未だに鳥たちの鳴き声はやみません。


P7110086.jpg・・・おや、茂みをよく見てみると、何か踏み分けたような跡があります。もしや?

 その辺りに落ちていた丈夫そうな枯れ草を手に、茂みの下を探りつつ進んでみることにしました。こうやって地面を確かめながら歩けば、ぬかるみにはまったり、虫を踏んだりする可能性が激減するのです。トラウマは人を成長させるのですよ・・・。

 ゆっくりとゆっくりと進むうちに、ふといつ終わるのだろうと考えました。誰に言ってるんでしょうね?
posted by クルック at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 思いつき小説もどき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

-mei- 名称未設定

 揺られ揺られてもう何日になるでしょうか。お尻の痛みと、ほのかに漂ってきた潮の香りだけが移動してきた実感を残しています。
 ・・・風景は以前、変わらないままですが。

 ちなみに移動に馬車などと言う古典的な方法を使う理由はただ一つ。・・・道が舗装されていないのはともかく、ガソリンスタンドなるものが存在しないらしいのです。一昔前ならば考えられません。

「後・・・どれ位で・・・着き・・・ますかね?」
 私はお尻の痛みをごまかすため、腰を浮かせたりバッグや馬のエサである飼い葉の上をチョコマカと移動しつつ、御者のおじいさんに尋ねましたが、気持ち良さそうに鼻歌を歌っているおじさんには聞こえていないようです。人見知りの激しい私は、二言目をかける勇気は持ち合わせておりません。

 まあ、また次の食事の時にでも聞けばよいでしょう。気の長いのは私の長所。友人に言わせれば「細かいことを気にしなさ過ぎる」との事でしたが、物事はいい方向に捉えるのが重要です(キッパリ)。

 そう割り切ると、今度はこちらに気付いていないのを逆手にとって飼い葉の上にうつ伏せになって少し眠ることにしました。いいのです。寝る子は育つと言うではないですか。・・・横に育ってもらっては非常に困るところですが。


 
 油の尽きかけて来た昨今、電気で動かすクリーンエネルギーというものも研究こそ進められているものの、いっそ昔の方法を取った方が早いと考える人たちが出るのは自然な流れです。
 その中でも特に『都会に疲れて田舎暮らし』に憧れていた人達にとって、それはある意味「夢の理論」へと発展しました。

 そうしてここに、「田舎都市」という新しいジャンルの都市が出来たのです。

 元々過疎化が進んでいた地域には、逆にそれを逆手にとって家畜や作物など、基本的に自給自足を目指すと言うコンセプトの元に人が集まり、足りないものは物々交換。うーん、実に原始的ながら人と人との温かみを感じさせます。
 田舎なのに都市とはこれ如何に、という所ですが、単純に人口の関係でそう呼ばれているだけなのでこれと言って深い意味は無いですね。公民館に行けば普通にネットなども利用できますし。



 解説的な夢が半ばを過ぎた頃、目が覚めると馬に頬を嘗められていることに気付きます。・・・というか髪がはまれている様な・・・。

「はうあっっっ!!!」

 だ液でベタベタになってしまった髪を押さえ、馬の口からゆっくりと引き出します。ううう、お風呂にも入れず我慢し続けていたのに、この追い打ちには涙を流さざるを得ません。ちょっぴり凹みつつ現状を把握すべく体を起こします。既に周りは暗くなっていました。

「おう、ようやくおきたかい?」御者のおじいさんがのん気そうに尋ねてきます。どうやら既に夜の食事の準備を始めておられたようで。本来ならばタダで乗せて頂いている私の役目なのですが・・・。既に鍋からはコトコトと何かが煮える音まで聞こえています。

 でもおじいさん、できれば飼い葉に私が混じっているのに気付いていたなら助けてください。お願いですから。

P7240197.jpg その日は結局、寝床の準備と、虫除けのキットを組み立てるのが私のやった唯一の作業でした。
 ・・・明日こそは。明日こそは何とか。
posted by クルック at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 思いつき小説もどき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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