2008年07月24日

-mei- 名称未設定

 揺られ揺られてもう何日になるでしょうか。お尻の痛みと、ほのかに漂ってきた潮の香りだけが移動してきた実感を残しています。
 ・・・風景は以前、変わらないままですが。

 ちなみに移動に馬車などと言う古典的な方法を使う理由はただ一つ。・・・道が舗装されていないのはともかく、ガソリンスタンドなるものが存在しないらしいのです。一昔前ならば考えられません。

「後・・・どれ位で・・・着き・・・ますかね?」
 私はお尻の痛みをごまかすため、腰を浮かせたりバッグや馬のエサである飼い葉の上をチョコマカと移動しつつ、御者のおじいさんに尋ねましたが、気持ち良さそうに鼻歌を歌っているおじさんには聞こえていないようです。人見知りの激しい私は、二言目をかける勇気は持ち合わせておりません。

 まあ、また次の食事の時にでも聞けばよいでしょう。気の長いのは私の長所。友人に言わせれば「細かいことを気にしなさ過ぎる」との事でしたが、物事はいい方向に捉えるのが重要です(キッパリ)。

 そう割り切ると、今度はこちらに気付いていないのを逆手にとって飼い葉の上にうつ伏せになって少し眠ることにしました。いいのです。寝る子は育つと言うではないですか。・・・横に育ってもらっては非常に困るところですが。


 
 油の尽きかけて来た昨今、電気で動かすクリーンエネルギーというものも研究こそ進められているものの、いっそ昔の方法を取った方が早いと考える人たちが出るのは自然な流れです。
 その中でも特に『都会に疲れて田舎暮らし』に憧れていた人達にとって、それはある意味「夢の理論」へと発展しました。

 そうしてここに、「田舎都市」という新しいジャンルの都市が出来たのです。

 元々過疎化が進んでいた地域には、逆にそれを逆手にとって家畜や作物など、基本的に自給自足を目指すと言うコンセプトの元に人が集まり、足りないものは物々交換。うーん、実に原始的ながら人と人との温かみを感じさせます。
 田舎なのに都市とはこれ如何に、という所ですが、単純に人口の関係でそう呼ばれているだけなのでこれと言って深い意味は無いですね。公民館に行けば普通にネットなども利用できますし。



 解説的な夢が半ばを過ぎた頃、目が覚めると馬に頬を嘗められていることに気付きます。・・・というか髪がはまれている様な・・・。

「はうあっっっ!!!」

 だ液でベタベタになってしまった髪を押さえ、馬の口からゆっくりと引き出します。ううう、お風呂にも入れず我慢し続けていたのに、この追い打ちには涙を流さざるを得ません。ちょっぴり凹みつつ現状を把握すべく体を起こします。既に周りは暗くなっていました。

「おう、ようやくおきたかい?」御者のおじいさんがのん気そうに尋ねてきます。どうやら既に夜の食事の準備を始めておられたようで。本来ならばタダで乗せて頂いている私の役目なのですが・・・。既に鍋からはコトコトと何かが煮える音まで聞こえています。

 でもおじいさん、できれば飼い葉に私が混じっているのに気付いていたなら助けてください。お願いですから。

P7240197.jpg その日は結局、寝床の準備と、虫除けのキットを組み立てるのが私のやった唯一の作業でした。
 ・・・明日こそは。明日こそは何とか。
posted by クルック at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 思いつき小説もどき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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